巻頭コラム 新潟市における「医療と介護の出前スクール」のご紹介 - 介護専門家コラム

巻頭コラム 新潟市における「医療と介護の出前スクール」のご紹介 - 介護専門家コラム

介護専門家コラム

巻頭コラム 新潟市における「医療と介護の出前スクール」のご紹介

新潟市保健衛生部地域医療推進課 秋山貴子
新潟市医師会 地域医療推進室 細道奈穂子

1.事業目的


新潟市では、市民が住み慣れた地域で安心して生活できるよう在宅医療・介護連携推進事業を行っており、その取り組みの一つとして、次世代を担う小・中学生及び高校生を対象とした「医療と介護の出前スクール」を 2018 年から実施しております。昨年度は 31 校で行わせていただきました。

2.実施主体
市内11か所の医療機関が市の委託を受け事業を行っております。医療と介護の出前スクールの他、市民を対象にした在宅医療や認知症をテーマにした講演会、また住み慣れた地域で安心した生活が送れるよう医療と介護の切れ目ない支援体制の構築を目指して活動しています。

新潟市在宅医療・介護連携ステーション 北(豊栄病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 東(新潟臨港病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 東第二(木戸病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 中央(斎藤内科クリニック)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 中央第二(みどり病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 江南(亀田第一病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 秋葉(新津医療センター病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 南(新潟白根総合病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 西(済生会新潟病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 西第二(信楽園病院)
新潟市在宅医療・介護連携ステーション 西蒲(西蒲中央病院)

新潟市在宅医療・介護連携センターホームページ
https://www.niigata-rc.org/

3.メニュー
医療・介護の専門職が講師となり、仕事についての喜びややりがいをお伝えしています。
開催日時や希望の職業は、申し込みをしてくださった学校のご要望に合わせています。学校によって、授業のねらいや目的、希望する学年も違いますので、担当教員と事前に打ち合わせを行います。担当教員も医療・介護の職種の多さに驚かれますので、簡単に職業の説明を行うところからの打ち合わせです。そして、授業の時間数はどれくらいなのか、体験的なことも含めるのか、生徒数や教室の広さの確認、感染予防対策も考慮しながら相談し、職種と内容を決定します。

医療と介護の仕事イメージ図ダウンロード

「介護」と「医療」それぞれの講師にお願いし、2 種類の職業の授業を行うが多いです。
授業の初めに、このイメージ図を用いて、病気や障がいを持つ人々が住み慣れた地域や自宅で生活していくことを望んでいる人が多いこと、そして家族だけではなく、医療・介護関係の人が連携して支援していることをお話しします。
地域で療養している人が増えていることは子供たちも気づいていて、「デイサービスにいく車をいつも見るよ」「おばあちゃんのところに来ていた訪問看護師さんとお話したことがあるよ」「おじいちゃんが通っている病院に一緒に行って、リハビリを見たよ」などの言葉が次々と子供たちからも出てきます。
お願いした講師には、ユニフォーム姿で授業をしていただいています。
今までに講師でお願いしたのは、医師、保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、薬剤師、介護福祉士、精神保健福祉士、診療放射線技師、ケアマネジャーなどです。
医療や介護についての知識を伝え、その職業について必要な資格や勉強についてもお話ししていただきます。子供たちから質問も多く出ます。
体験をしていただくこともあります。例えば、聴診器を使って呼吸の音や心臓の音を聴いてもらう、脈の数やリズムを確認してもらう、処方箋を見ながら薬の調剤をする、薬との飲み合わせによる変化を見てもらう、車いすで移動介助する、足型を作ってもらうなどです。グループワークとしてケアプランを作ってもらったこともありました。体験しにくい職種はクイズなどを用います。診療放射線技師の時は、病気だけでなく食べ物の画像などを使って楽しい授業になりました。

4.実績
平成30年度 小学生5回、高校生1回
平成31年度 小学生21回、高校生1回
令和2年度 小学生18回、中学生9回、高校生8回

※学校に出向くだけでなく、病院やデイサービス体験を実施しているので対象と実施回数を記載しています

5.講師からのメッセージ

清水祐一さん/訪問看護ステーションよいとこ(看護師)


私どもは医療介護の出前学習として、桜ヶ丘小学校へ参加をさせていただきました。生徒さんたちの「知りたい」と輝きに満ちた目はとても印象深いものでした。訪問看護については、その規模と数から、病院に比べるとまだまだマイナーな世界と言わざるを得ません。しかし、社会情勢を鑑みると、療養が必要な方々は、これまでよりもさらに「病院を出て自宅で過ごす」時間が増えてきます。そういった方々の力になる人材として、今回の出前学習をきっかけに、将来、在宅ケアを目指す生徒さんが増えることを期待しています。

鈴木啓太さん/PO-Links(義肢装具士)


私は,地域の義肢装具士として子供たちに「義肢や装具はどのようなモノか」について講話しました。大人でも触れることが少ない義足や義手・装具を手に取り動かす子供たちは,好奇心の塊でキラキラ輝いていました。他にも模擬義足を装着して歩いてみたり,友達の足型を採ったりご要望に合わせて行います。授業を通して,義肢装具を学ぶだけでなく,相手のことを考え自分に何ができるかを考える子供たちを見て将来が明るく見えました。

6.生徒たちの声


子供たちから感謝のお手紙が届くことも多く、「〇〇冥利に尽きる」と感動した講師も多かったことと思います。「薬を使った実験をして、薬を飲むときに注意することがわかりました」「訪問看護師という仕事を初めて知りました」「初めて車いすに乗って、次にどう動くかわからないと不安な気持ちになりました。声かけしながら動かすことで乗っている人を不安にさせないことが大切だと学びました」「地域の中で様々な職業の人が連携して働いていることがわかりました」等々が書かれてきます。子供ながらの斬新な視点や言葉に驚かされることもあります。開催校からは「キャリア教育としての効果だけでなく、命を支えること、困っている人を助けるということについて学べた」「地域で多くの医療・介護職がチームを作って取り組んでいることを知ることができた。」という反応を多くいただきました

7.事業担当者より当事業を通して伝えたいこと
「医療と介護の出前スクールでは、医療と介護の様々な専門職が講師となり、病気の方や障がいをお持ちの方にどのような支援やかかわりをしているかをお話していただいています。私も保健師ですが、医療・介護職は感謝されることが多く、人のためになっていると実感できる、とてもやりがいのある仕事だと感じています。また、色々なことを経験してこられている方にかかわらせて頂くので、人生の大先輩として学ぶことも多いです。
出前スクールを通して、医療や介護について興味をもったり、身近で困っている人がいたら自分にできることを考え、手を差し伸べたりできるようになってもらえたらうれしいです。」

 

 

執筆
新潟市保健衛生部地域医療推進課 秋山貴子
新潟市医師会 地域医療推進室 細道奈穂子

 

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