利用者の可能性 - 介護専門家コラム

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介護専門家コラム

利用者の可能性

 

利用者の可能性 山下総司 

 

在宅でも施設の中でも利用者は逞しく生きているという事実があります。在宅ではご本人の努力や周囲の支援、家族や親族の協力があって維持される事が多いです。一方、施設では通所であれ入所であれ施設の方針や考え方とそれを実行するスタッフの知識と技術、実践が利用中の環境を左右することとなります。

 

2000年から始まった介護保険事業も今年で22年が経ちますが現場スタッフの提供するサービスの質という部分やスタッフそのものが22年分の成長があるのかどうか?となるとなかなか厳しい現状であると思うのです。

 

私の仕事柄、全国様々な施設の現場を見て、経営者からパートさんまでお話をするのですが2000年当初と何ら提供するサービスが変わっていない、
業務も改善もされないままずっと変わらず行われていて人不足から当時の流れで作業が出来ないと言っていたりと燦燦たるものです。

 

中には改善に改善を重ねて、誰が見ても質の高いサービスが提供されていると分かるような施設もあるのですがほんの少ししか見たことがありません。
ではなぜ同じように介護保険制度に則りサービスを提供してきたのにこれほどの差がついてしまったのか?という事ですね。

 

これにはいくつかの原因が考えられます。

・法定研修と言われる研修以外に学びの場がほとんどない。

・情報収集をすることがなく、日々の業務が何事もなく終わればよい。

・新しい事をするとスタッフが色々というからそのままでやってきた。

・研修などへ資本をかけてられない。特に困らないから。

・給与が低いのにこれ以上余計なことはしたくない。

・パソコンなど機器に慣れていないから使いたくない。だからやらない。

・やり方を変えない方がお互いに楽だし困惑しないのだから・・・

などアンケートを取ってみたら意見としては様々です。

ただ共通項としては、

・学びたくない(疲れる、めんどくさい)

・自分の時間をそんな事に使いたくない

・今のままでいい(給与も変わらないのだから)

という感じで他人が悪いのであって自分は悪くない。

これ以上学んでも仕方がない。どうせ事故がなければいいのだから。
という他力本願な部分が多いのだと思います。

このようなモチベーションと知識と技術、実践力で利用者はサービスを受けるわけですから当然良くなることはないわけです。

 

また効果がほぼ無いと分かっているのに同じことをひたすらさせられている現場がたくさんあります。脳トレという名の塗り絵、計算、漢字、間違い探し。

 

2000年より前の措置制度時代からやり続けているこれらのサービスですが良くなったという報告がほぼ無いわけです。あればその方法を行っている
わけですから不思議ですね。効果の無いと分かっている事を他にすることがない、人が足りないから出来ない、考えないとなるわけです。

 

 

こういった現場でいつもスタッフさんにお話をします。
「今自分たちがやっていることを評価と効果で説明が出来ますか?」と。

これが出来ないとしたらそれは単に時間つぶしであり、考えないスタッフの露呈した姿なのです。人は何事も考えて実践をしないと成長しない生き物です。

まして介護保険サービスとして支払いをされている方へ提供するわけですから考えてより良いものを提供する義務はあります。

 

状態が改善されないとしても状態をせめて維持する事、日常生活に少しでも支障をきたさないようなサービスを提供する事は必須だとなります。

そしてサービスを提供するための研修と学びであり、新しい情報も含めたものを事業者とスタッフは知りえるべきであり、実践から効果を確認してよりよいサービスを提供し続けることなのです。

そこまで細部にわたって行ったとしても確実の改善がされるケースは少ないのですから、やってなければほぼ改善されず悪化の一途を辿ることになります。

 

施設で働く皆さんは利用者の在宅の現状を見たことがありますか?

見に行くことが出来ないという方は知ろうとしたことがありますか?

目の前の利用者に興味を持つという初歩的なかかわりの部分から出来ていないとしたらこれはお互いに何もよく知らないまま何となくサービスを提供する結果となり効果は当然出にくいとなるのです。

 

 

こちらの考え方、見方で利用者の生活環境は大きく変わります。スタッフが無理だと思っても変化する利用者もおられます。ごくわずかですがそんな利用者もいるのです。だからこそ現場で働くスタッフはしっかりと目の前の方の課題が何かをまず知る事、そして課題の改善のために何をしていけば良いか考える事。

 

考えがまとまれば皆で話し合いをして実践するための準備をする事です。そして皆で同じ質の形を提供することが利用者にとってもプラスであり、スタッフも経験値として人材の質が向上し、学びを更に深めてまたそれを共有して実践すれば施設スタッフ全体の質が上がるのです。

 

そういう現場とスタッフをみた就職希望者がこの仕事に定着するのだと思います。

 

ぜひ皆さんの施設を見直してみてください。利用者に興味をもって下さい。

働く仲間を気遣い、労い、時には議論して向き合って下さい。介護、福祉の業界もまだまだ捨てたものではないと思います。

 

 

新潟県内で私がサポートに入っている施設は、下記の4施設です。

施設での取り組みをインスタグラムやホームページで情報公開していますので是非アクセスして見てください。

 

①ほっとしばたケアセンター(新発田市)
https://www.instagram.com/ds_himawari/

②介護老人保健施設第二にいがた園 デイケア(新潟市江南区)
https://www.instagram.com/dai2niigataen_daycare/

③デイサービス優友(新潟市西蒲区)
https://www.care-yuyu.or.jp/

④弥彦ケアセンターあおぞら(弥彦村)
https://www.instagram.com/aozora9836/

 

現場放浪記ブログ
希望の伝達人/介護環境アドバイザー・山下総司

http://www.kaigogoyoukiki.net/niigata/blog/008/

 

コラムの記事pdfダウンロードはこちら

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