だから介護は難しい ~言葉遣いから尊厳の在り方を考える~ - 介護専門家コラム

だから介護は難しい ~言葉遣いから尊厳の在り方を考える~ - 介護専門家コラム

介護専門家コラム

だから介護は難しい ~言葉遣いから尊厳の在り方を考える~

皆さん、こんにちは。たなかいごです。初めにテーマを決めるときに「認知症について書きます!」って伝えたのですが…。書き始めたら「言葉遣い」がテーマになっちゃいましたw

さすが僕ですwww打席に向かう前には、素振りをしっかりやっとけよ的な。やっぱり基本って大事ですよね(笑)

 

結論から言っちゃいますね。介護職は「敬語を使って丁寧に話す」ことが大切です。

 

言葉は尊厳を守るひとつの手段

 

まぁこういうこと言っちゃうと、必ずって言っていいほど反論してくる輩がいるわけで。そういった方々は、「馴染みの関係を持つ為に」だの「敬語だと固っ苦しい」だの「家庭的なんです」だの、さも自分は正しいことをしているように返答してきます。

でも、そういう人達に限って、しっかりしている方や厳格な人には敬語でしゃべって、認知症の方や気が弱そうな人に対してはタメ口で話していたり…。ちゃんと使い分けてます!とか言い返されそうですが、その線引きって何なんでしょうね。敬語じゃないと文句言ってきそうだから?認知症の有無で判断?

そう。タメ口で話す人たちは、何らかのレベルに達してない相手に対して敬語を使いたくないだけなんですよ。その程度の線引きです。介護で大切な「尊厳」の「そ」の字も守っていませんから。

 

〇〇を武器に、△△を正当化する

 

それとも…。認知症だから分かりやすい言葉でって思ってるんでしょうか?たしかに単純な言葉のほうが伝わりやすいときもあります。ただ。『だよ』だの『○○しよう』が、『です』や『〇〇しましょう』になったところで、言葉の量はたいして変わらないじゃないですか。

 

 

そもそも、利用者本人が「タメ口で話しかけられて嬉しい♪」とか「うちらこれで馴染みの関係になってるよね♪」って言っているのでしょうか?言ってないですよね。

 

それでも仮に。タメ口で、利用者が元気に生活しているとしたら、それは言葉ではなく、皆さんの心温まる対応にあるのでしょう。 決してタメ口で話していたおかげじゃありませんから。言葉遣いを丁寧にしたら、もっと元気になる利用者が増えますって。

 

つまり、言葉遣いがゆるい職員は、タメ口のおかげで関係が深められているという勝手な思い込みに加え、【馴染みの関係】や【認知症だから】を武器に、自分自身の言葉遣いのお粗末さを正当化しているだけなのです。

 

【タメ口】が必要な人

 

要は相手に敬語を使いたくないだけなんだよね。どこかしら、なんかしら利用者を見下してるんですわ。知らず知らずのうちに…。

 

たしかに単純な言葉で、本人にとって入りやすい言葉で会話をしたほうが、伝わりやすいってケースもあると思います。ただ、それは例外のケースであり、特別な場合です。基本ができていないのに、応用が必要な接遇ができると思ったら大間違いです。

 

そもそも本当にタメ口で元気にできるなら、ケアプランに書けばいいじゃん。だってその人にとってそれが必要(ニーズ)なんだもん。本人・家族にちゃんとそのプラン見せて、「我々はこういう思いで接します」ってさ。

 

まぁ、たとえ老いで体が不自由になろうが、認知症になっていようが『私たちは敬意を持って接していきます』って姿勢のほうが受け入れられると思いますがね。

 

仮にケアプランで同意をもらったとします。でも、ここで気をつけてほしいことがあります。それは第三者の目です。仮に、Aさんに対してスタッフがタメ口で話していたとして。それを他の利用者が見て、「仲が良くてうらやましいなー」って思うでしょうか?家族や外部の人が見て、「家庭的で和気あいあいとしてるなぁ」って思うでしょうか?

 

分かります?学生時代、後輩からタメ口で話しかけられるのが当たり前な先輩は、同級生から「人気者だねー」なんて評価されず、むしろ馬鹿にされていくものです。親だったら「うちの子大丈夫なの?」って思うレベルです。

 

逆に、後輩が丁寧な言葉や態度で寄ってくる先輩は、同級生から「尊敬の念」で見られるものです、やっぱりあいつすげーなって。親や先生だったら「自慢の子(生徒)」になるかもしれませんね。

 

僕は思うんです。ベテラン職員がタメ口で話すから、新人さんまで真似をする。これに馴染みの関係があるのでしょうか?もっと言えば、職員が馬鹿にしたような態度をとるから、他利用者もその人を馬鹿にしだして…。職員が面倒くさそうに対応するから、他利用者はその人を見て「ぼけたくねーな」と思い始める。

 

その人一人がタメ口で話そうが、相手はそんなに気にしないかもしれません。でも、そのうちそういった環境は広がっていくものです。集団って怖いんですよ。

 

本当に言いたいこと

正直な話、言葉遣いについて議論すると、何が正しくて、何が間違っているとかになりがちですが…。本来であれば、対応の仕方(言葉遣い)を相手に当てはめていくのではなく、相手に適した方法(接遇)を見つけていくことが大事なんですよね。敬語イコール丁寧な言葉遣いってわけでもないし…。

 

僕が本当に言いたいことは、言葉遣いが尊厳を守るひとつの手段になるということ。それなのに、こうやって言ってしまうのは、言葉の使い方の基本がそもそもできていないこと。つまりは、介護現場には、言葉遣いで相手の尊厳を踏みにじる職員がいまだに多く存在しているからだったりして(爆)

たなかいごブログ
https://www.kaigogoyoukiki.net/tanakaigo/

コラムの記事pdfダウンロードはこちら

2021_110.111p_たなかいごコラム

介護業界歴10年以上のプロがあなたをサポート

無料転職サポートに申し込む

介護のお役立ちコンテンツ

「月刊新潟Komachi」の転職サービスだから地元新潟に強い!
介護の実務をよく知る「介護業界の専門家」があなたの転職を無料サポート。

  • 1

    希望の施設探します。非公開求人あり!

  • 2

    豊富な取材実績! 施設の内情も教えます

  • 3

    施設の見学、面接に同行。条件交渉

介護業界歴10年以上のプロがあなたをサポート

無料転職サポートに申し込む
無料転職サポート
に申し込む
0120-547-251
(平日9:30~18:00)
中途採用をご検討中の企業・ご担当者様へ
Loading...