山下総司
介護保険が始まって21年が経ちました。私は2004年からこの業界に参加していますが随分と現場の取り組みや考え方が変わってきているなあと感じる分、21年経っても全く変わっていないような現場や考え方を観る場面もまだまだ多くて非常に不思議な感じです。ただそれは介護保険がというよりはそこで働くスタッフ、大きく言えば施設、法人の体質が左右するものだと思います。
近年の人材不足に加えて、教育育成を前向きにしていない施設は学ぶ姿勢すら見えない、今のまま事故がなければいい、収益に問題がなければいい。このような意識では当然人も育たない、辞めていくのは当然なのですがそこに気づけない。結果慢性化するのです。ではどうのようにすれば歯止めをかけてなおかつ育成が出来るのか?これは内容というより階層(経営者、管理者層、一般層)によりアプローチが違うわけです。
まず経営陣はもちろん収益は大切ですが投資も考えないといけません。稼げ稼げ、だけど人材育成に必要な投資をしないのでは置いてけぼりになるのです。携帯だってパソコンだってある程度のスペックは必要なわけですから人材はスキルアップをしないとダメという事です。そして法人に魅力を感じるような運営を心掛けないといけません。
評価の上下の基準を分かりやすくしてスピーディーに反映される、新しい取り組みを自主的に行えるような制度を構築する、組織としてバックアップする体制を作る、そのためにはルールの中での権限を持たせて定期的にチェックをすることです。ここが多くの法人では出来ていません。1000円を使わせる事すらがんじがらめにしている状況です。これではあなた達等信用できないから…と無言で言ってるようなものですね。意欲も失せるわけです。こういった部分をしっかりと振り返るべきだと思います。
管理者サイドはまず注意をする勇気を持つこと。勇気がないなら自らの知識と技術を高めて実践を繰り返してしっかりと経験値を積んでください。管理者は失敗も多く知っておくことです。部下に色々と指示をする際もこの失敗に対しての対応やフォローがあればやりやすくなりますが無ければ丸投げといわれるのです。
一般的に予測や仮説というものですがそれをしっかりと頭でイメージして経験ともすり合わせて考えておくことです。そしてその後は定期的なチェック、管理をしながら進捗に合わせたフォローをする。ヒアリングも必要ですね。たった10分程度でも良いのです。だらだら話すのではなく要点をまとめておけば出来ることです。そういったコミュニケーションを普段から取る事が部下に対する意識づけとなり、部下が成長して役職がついたときに同じようにやっていくからです。
つまり育成をするという事は普段からの業務を丁寧に考えて行うような仕組みを構築する事から始まるのです。管理者研修を受けても人がなかなか成長しないのは実践が不足しているからです。車の運転で言えば、ペーパードライバーだという事です。ここに気づけば育成のために必要な事もおのずと理解できると思います。
一般層についてはルールを皆が守るように仕組みを作る事。そして守らない時にはそれなりのペナルティも見える化しておくことです。これは皆さんがご存じの交通ルールと同じ。きちんと守って違反がなければゴールド免許になる、更新時の時間が簡素化されますし、違反をしたら点数を引かれて、罰金を払い、免許が停止になったり長い時間の講習を受けないといけないと決まってますね。こういうルールを皆が知っているから守れるのです。
現場には意外にやることの順序は決まっていてもルールはなかったりするのです。だからやらない人はいつまで経ってもやらない、のらりくらりと逃げる、ごまかす。真面目にやってる人はそれをカバーする、疲れる、イライラする、嫌になる、辞めるとなるのです。
また特徴として普段から考えて仕事をするという部分に欠けているのでちょっと順序がズレると怒ったりするケースがあります。パニックになったり言動が荒くなったりするのもこのケースです。そしてあの人が悪い、この人が悪いと批判を繰り返すようになります。こういった事を防ぎ、公平な評価を形にするためにはルールが必要だという事です。
そして、研修などを通して学ぶ機会と考える機会と実践する機会をしっかりと設けること。ここを横着すると人は絶対に育ちません。学ぶ意欲がある方ばかりならばホッておいても自分で学んでくれますが残念ながらそんな方ばかりではありません。機会をつくって参加をさせないと学ばない方もいるという事です。
これからの介護が目指すものは取り組みもさることながらやはりそれぞれの階層が学び考えて実践をすることです。組織を強くするために様々な事をしっかりと構築をしていくこと。どんな立場の人であってもやるべきことをやる。これが一番だと思います。
◆◆◆コンサルティング事例◆◆◆
2021年から弥彦村にある弥彦ケアセンターあおぞらデイサービスへ自立支援介護の推進を目的にコンサルティング指導しています。
利用者さんには、手作りエコバッグ作りを通じて、地域住民と関わる機会を増やしています。
弥彦村は観光資源に恵まれた地域なので行政や観光施設とも連携し、更にあおぞらの魅力を高めていただければと思います。
職員も新しい取り組みに積極的にチャレンジする中で、職員同士のコミュニケーションが活性化したり、職員の自信にも繋がっています。
弥彦あおぞらケアセンター インスタグラム
https://www.instagram.com/aozora9836/?hl=ja
現場放浪記ブログ
希望の伝達人/介護環境アドバイザー・山下総司
http://www.kaigogoyoukiki.net/niigata/blog/008/
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