【介護専門家コラム】実務者研修で学びましょう　
＜岡田史（ 一 般社団法人新潟地域福祉協会）＞ - 介護専門家コラム

今年度、 当協会の実務者研修スクーリングが始まっています。 毎年、 受講者の皆さんとお会いして一緒に学ばせていただいて感じていることについてお話をしたいと思います。
実務者研修は、 ご承知のように3年の実務経験を経ることによって介護福祉士国家試験を受験するために必要な研修ですので、ほとんどの人が、 ある程度の介護実践を経験されて受講しています。 取得資格によって免除科目はありますが、 450時間の学習と医療的ケア演習で構成され、 450時間の学習のほとんどが通信科目として自己学習とされていますが、 そのなかで、 介護過程Ⅲという科目がスクーリングで実施することとなっています。 当協会の実務者研修も、 通信教育によって学ぶことが中心ですので、 受講者の皆様とお会いするのは、45時間の介護過程Ⅲのスクーリングと医療的ケアの演習のみになっています。
通信課題は、 記述方式と選択方式で構成されています。 記述の課題は、 知識を確認するもの、 考えをまとめるもの、 事実を整理するものという考え方で出題をしています。その記述課題の内容を読んでみますと、 あるべき姿と現実の間を乗り越える力強さを感じることのできる記述もみられ、 そのような文章に出会う度に、 実践者ならではのレポートだと感銘を受けています。
そのように自己学習に取り組まれてきた実践者の皆さんとともに学ぶスクーリングですので、 スクーリング当日の私は、 期待感や緊張感でいっぱいです。
介護過程とは、 利用者の生活状況を分析して、 ニーズを明らかにし、 目標を掲げて介護内容を検討し、 実践と評価を行うそのプロセスを言います。 そのプロセスの実践力をつけることを目的に学ぶ科目が 「介護過程Ⅲ」 スクーリングです。
「介護過程Ⅲ」 スクーリングではそのプロセスを、 個人ワークやグループワーク、ロールプレイング、 介護実技等の手法を用いながら学んでいきます。 例えば、 利用者様のお名前を呼ぶときに視線を合わせるというのにはどのような意味があるのか、 杖歩行の介助のときに患側やや後方に位置して付き添うのはなぜか、 私たちの介護実践は何を目的に行っているのか、 などを事例検討や介護実技のなかで学んでいただきます。
答えは一つだけではない課題に対して、これまでの介護の知識や技術を総動員して取り組む学習方法は、 学習者の主体性を育ててくれます。 この学びが、 さらに豊かな介護過程を創造していく力になっていくということを思いますと、 研修担当者としてワクワクした気持ちになり」 ます。
実務者研修については、 介護福祉士の資格をすでに取得している人も受講することが可能となっています。 機会がございましたら、 ともに学んでみませんか。

介護について教えてほしいと、中国や台湾に招かれることが増えてきました。台湾では、流暢な日本語を話す老人住宅の入居者の方と交流しました。とてもきれいな言葉遣いをされていたことが印象的でした。山東省で開催されたシンポジウムでは、「日本の介護」についてお伝えしてきました。日本と同様、高齢化の進む中国や台湾において、「日本の介護」への関心がますます高まっています。

岡田 史（一般社団法人新潟地域福祉協会）

介護福祉士、介護支援専門員、日本語教師、アンガーマネージメントファシリテーター、修士（社会福祉学）、博士（保健学）
1978年より特別養護老人ホームや養護老人ホームの介護職を務める。1993年日本介護福祉士会及び新潟県介護福祉士会の設立に参画。2005年介護福祉士の養成教育に従事。現在は、一般社団法人新潟地域福祉協会の理事長として、実務者研修、実務者研修教員講習会等を開催。また、施設や事業所にて「虐待防止とアンガーマネジメント演習」「介護における災害時対策」「リーダーのための問題解決思考法」などの研修講師を務める

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