介護福祉士として認知症の人の家族として ~公益社団法人 新潟県介護福祉士会 西本円

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介護専門家コラム

介護福祉士として認知症の人の家族として ~公益社団法人 新潟県介護福祉士会 西本円

4月〇日日曜日6時半、携帯が鳴って目が覚めた。姉からの電話。「ばあさんが転んでこれから救急車に乗るから」「えっ!?」飛び起きた私は、とりあえず母の暮らす施設へ。私の母はちょうど3年前からグループホームで生活しています。

私は介護職員を「寮母」と呼んでいた昭和の終わりから介護業界で働いています。20代前半の何も知らない私は、特別養護老人ホームで厳しく、優しく先輩方から「介護の基本」を指導していただきました。そして、個性あふれるご利用者の「生きること」と「最期の時を支える」ということに誇りをもって携わっていました。現在も変わらず、介護福祉士で「よかったな」と思っています。

私が家族介護者となったのは、数年前に父が脳幹梗塞で倒れた時からでした。その後、母に認知症の症状が出現し、両親ともども介護保険のお世話になったわけです。私の両親にかかわってくださっている事業所の皆さんは、さぞかしやりにくかったことでしょう。

こと細かにオーダーを出し、時には皆さんに感情的にお願いすることも多かったと思います。。言い訳になりますが、仕事をしている私たち家族にとって、両親の状態変化が一番つらく、「とにかく、良くなってもらわないと」と必死です。父の時は倒れて寝たきりの状態から杖で歩けるようにしてもらいましたので、この業界にいる自分にとっても、父本人にとっても、「歩ける」ということの大切さが良くわかりました。

そこで、介護福祉士だけど家族介護者の立場の私が、これまでの経験から現場の皆さんに対してお願いしたいことを書かせていただこうと思います。

1.介護職員は食事・入浴・排泄のプロでいてほしい
食事:楽しく、モリモリ食べられるように、見た目にも、食べても美味しいものを。
入浴:入浴すると肌はツヤツヤ、身体機能がアップします。のんびりゆったり。
「年寄りは週2回の入浴で十分」なんて思わないで!
排泄:排泄リズムを把握して、トイレで排泄。失敗しないでできます。
失禁は本人の自尊心を失くさせます。

2.家族への報告は当然の「おしごと」です
家族から問われる前に、本人の様子「良いこと」「良くないこと」を報告してほしい。本人がどのように過ごしているのか、家族だから知りたいのです。「お変わりありません」は聞きたくありません。何が変わりないのか教えてほしい。事故報告は時系列に、口頭だけでなく書面で説明を!

3.「プライドがあるから・・・」という言葉で逃げないで
誰にでも「プライド」はあります。「プライドが高いから、支援しにくい」「拒否される」は言い訳ではないですか?
どのように本人にアプローチし、なぜダメだったのかの説明ができるように!

4.職員は正直であること。説明は大事
失敗などの場面で、「言い訳になるから・・・」と思いがちですが、説明は大事です。
素直に説明する。できないことは、説明をしてお互いに折り合いをつけること。
そうして家族との信頼関係がつくられます。ちなみに、事業所のシステムとして「誰が報告や説明をするのか」は事前に知らせていただけないと、家族はかなり戸惑います。

5.職員は明るく笑顔で楽しい姿でいてほしい
ご利用者は職員をよく見ています。家族も職員をよく見ています。表情・動き。
職員が笑っていれば、ご利用者も笑顔でいられるはずです。そして笑顔の職員に話しかけてもらうと家族は「ここでよかった」と安心できます。職員さん元気出して!

6.利用者の過去を知っていますか? 現在の状態に至る背景を知っていますか?
認知症の母は、過去の話ができなくなってきています。時にかかわりが面倒な母かもしれませんが、これまでの歴史や私たち家族との関係性、それぞれの子供に対する思いがあります。他のご利用者にも同じような歴史と、関わってきた人への思いがあると思います。ぜひ、現在の利用者の理解だけでなく、過去の利用者の姿も知ってください。「これから」の支援に役立つことがあると思います。

私の周囲の人の話を聞くと、家族介護者はサービス事業所に対して、「言いたいことはあっても言えない」「こんなこと言ったら悪いかしら」「苦情と思われたりすると、施設から出されるのではないかしら」と考えている人も少なくないようです。家族介護者は専門職ではないから、疑問を持つこともないかもしれません。

「資格を取ったらそれで終わり」「仕事が忙しいから勉強する時間がない」「ただ言われるまま業務をするしかない」なんてことになっていませんか?
利用者は体制加算や処遇改善加算を何も言わずに払っています。私は加算をとるならば、それに見合った質の良いサービスを提供してほしいと思います。質の良いサービスを実践することは、学びがないと難しいことを知っています。介護職の人たちが学ぶ機会を持てるようになってほしいと思っています。

私自身は母とのバトルの日々を懐かしく思いながらも、施設に介護をお願いすることで、仕事や様々な活動ができることに感謝しています。4月に転倒し大腿骨を骨折した母は歩行器で歩いています。もうすぐ90歳になろうとしている母が、元気でにこやかにい続けることが私たち姉妹の望みです。

撮影協力 社会福祉法人 亀田郷芦沼会

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