認知症の人が暮らしやすい仕組み。 - 介護専門家コラム

認知症の人が暮らしやすい仕組み。 - 介護専門家コラム

介護専門家コラム

認知症の人が暮らしやすい仕組み。

先日認知症の基礎的な研修を依頼され、話しをする機会がありました。主に施設の職員が多く参加していましたが、この研修はここ数年盛況です。それは主催者側としては喜ばしい事なのでしょうが、個人的には複雑です。極端な事を言えば、年々認知症に関する研修が減少し、参加者数も少なくなるのが喜ばしいことであり、普通ではないかと思います。
しかしながら、これは認知症に関する研修会や勉強会、サポーター養成講座が盛んにされているのに、いっこうに認知症を取り巻く事業所での環境、地域での環境は変わって いないということの表れではないかとも思います。もちろん、個々の事例に関しての検討や対応・支援は必要です。それは現在も行われていますし、自治体によって差はありますが、認知症の人やご家族を支援するシステムも出来つつあります。今後、わたしも含めて多くの方が人生の後半で認知症と共に暮らす経験をすることになるなかで、その時に社会から排除されずに、地域で、事業所で普通に暮らせる社会を少し考えてみましょう。
認知症の人が暮らしやすい社会を考える上で「認知症フレンドリー社会」という本と出合いました。(徳田雄人 著 岩波書店2018)その中で徳田さんは、認知症の人への対応を変えるのではなく、発想の転換をして、「社会そのものを変えるのはどうだろうか」と、世界や日本の事例から提言してくれて います。その中の大きなヒントに、「RUN伴」の取り組みも紹介されていました。この冊子が発売される頃には、新潟県でも多くの方を巻き込みオレンジ色に染めたタスキを繋ぎ「RUN伴 2019 in新潟」が開催されたことでしょう。


「RUN伴」とは?

胎内市においては、RUN伴の開催は4年目になります。今年度わたくしは実行委員ではありませんが、各地域で友人たちがRUN伴を支えたり、応援する側にまわり、地域の人と認知症の人が出会い、認知症になっても安心して暮らせる地域をつくる一歩になればと思い、これまでずっと関わり活動させていただきました。もちろん認知症の人が暮らしやすい仕組みを作ってきたつもりではありますが、認知症地域支援推進として活動して気づいたことに、医療や介護の専門職以外の多くの方、地域の方は、認知症の人に接する機会が少なく生活されており、両者にはほとんど会話がないということがあります。当事者、専門職、それ以外の人が内々で話合い対応している状態が結構あるという事です。認知症の人と接点がなければ、その人を知ろうとか、理解しようとも思わな い のではないでしょうか。RUN伴は認知症を、自分にも関係のある事だと思うきっかけになるはずです。
また徳田さんは、RUN伴にはもう一つの効果があるとおっしゃっています。「タスキリレーをするというイベントの性格上、隣町の人とも知り合いになります。都道府県や地方といった、もう少し広いエリアのなかでも連絡調整が必要となるため、おのずと知り合いになっていくのです」。これだけでは深く知ったことにはなりませんが、近隣の方々を知り、その活動を知るきっかけとしては十分だと、自分自身も参加して強く感じました。
各施設、事業所を利用されているのであれば、認知症の方々の暮らしやすい仕組みにつ いても考えなくてはなりません。
パーソン・センタード・ケアは旧来の医学モデルからその人を一人の人間として尊重するケアを行う「人間モデル」です。基本的な姿勢は、本人を私たちの輪からはずさない、ということですから、どんなに良い関わり、支援、アプローチをしようが本人を除いた場で行うことや本人の声を聴かないでケアをおこなうことは、認知症の本人を私たちの輪から外していることに繋がります。
現実的にはパーソン・センタード・ケアの実践となると、なまやさしいことではなく、理想としてとどまっている感じが私どもの事業所でもありました。パーソン・センタード・ケアでは認知症ケアマッピングが評価に使われます。事業所の理念と実践の間にある隔たりを埋めることは困難ですが、認知症ケアマッピングをやり遂げ、継続して行っていくことが質の高いパーソン・センタード・ケアを提供することなのではないかと感じています。また、これまで他のマッパーの方々の協力と認知症の人のニーズを満たすためのスキルを磨きたいと声を上げてくれた職員のおかげで、認知症ケアマッピングを行ってきました。
認知症ケアマッピングを行ってみて、まだその途中ではありますが、その時に最善と思われるケアであっても、最善でない可能性もあり、ケア対象者・関わる職員の変化によってもケアを見直すことが重要だと感じています。これは日々の実践で、ケアを見直すための振り返りが職員だけでは容易ではありませんが、認知症ケアマッピングからのフィードバックを通して振り返ることができ、今後のアクションプランに活かせると考えています。今年度も新潟県の事業として、「認知症ケアアドバイザー派遣事業」があるので、ぜひ活用してみてください。


令和元年度新潟県認知症ケア・アドバイザー派遣事業を
実施する施設又は事業所を追加募集!!
http://www.pref.niigata.lg.jp/kourei/1356907355454.html



クラレテクノ㈱ちゅーりっぷ苑
副苑長 新野 直紀
社会福祉士・介護支援専門員
認知症介護指導者・認知症ケア上級専門士・DCM基礎マッパー・胎内市認知症地域支援推進員・胎内市認知症初期集中支援チーム員


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