大切なものを大切にする技術。 - 介護専門家コラム

大切なものを大切にする技術。 - 介護専門家コラム

介護専門家コラム

大切なものを大切にする技術。

『介護技術』と聞くと、排泄や入浴、車椅子とベ ッドの間の移乗など、身辺的な援助をイメージしやすいと思います。しかし、我々が支援する対象はあくまでも“人”であり、身辺的な援助技術が秀でるだけでは“介護のプロ”とは言えません。“介護のプロ”として技術を発揮する時には、【目の前の人を日頃どのように受け止めているか?】という視点が非常に重要となってきます。
例えば、目の前の人を「高齢者」や「認知症で物事を忘れやすい人」「転倒のリスクが高い人」というように捉えているでしょうか?それだけではあまりに一辺倒過ぎます。目の前の人をあらゆる角度から捉えるためには、自分自身の過去を見つめ返してみることが重要です。ぜひ見つめ直しながら読み進めてみて下さい。
私たちは誰しもが母親から産まれ、今ここに生きています。お腹の中にいる時から愛情を注がれ、幸いなことに産まれてからも、両親や祖父母、兄弟や親戚、近所の人、友人や同僚…数え切れない人たちに支えられてきたことと思います。初めて食べ物を口にできたとき、初めて寝返ったとき、初めて歩けたとき…そんな初めて〇〇ができたとき、きっと周りの人達はとても喜んでくれたのではないでしょうか。
そして、介護を必要としている人が起きられるということ、座れること、食べられること、聞こえること…そんな1つ1つも、生まれてから大切に育まれてきたからこその力なのです。偶然にも関わりを持たせていただけている、ただそれだけの我々支援者が、これまで幾人もの人が支えてきた“大切な力”を奪うようなことがあってはなりません。
介護の現場を見ていると、“できないこと”や“支援が必要なこと”に目が行きがちで、 そこをお手伝いすることこそが介護者のやりがいのようになっている、誤った風潮が蔓延しているように感じられます。そうではなく、まずは目の前の人がどの位自分で動けるのか、理解できるのかなど“できること探し”を1つ1つ行い、それが継続できる環境を整える。あくまでもその上で、“できないこと”に対して必要最小限のお手伝いをする、といった視点こそが、その人の「大切な力を大切にすること」に繋がって いくのではないでしょうか。
そんな「大切な力を大切にする」技術について、よく介護現場で見かける誤った方法と照らし合わせながら、具体例をご紹介します。
1.移乗(立ち上がり)介助場面

上図では、上の方向へ引っ張り上げて立たせており、【本来の動きが妨げられる→持っている力・できることを活かせない→自分で立つ力が削がれていく→いつの間にか全介助へ】といったような悪循環を生んで行きます。


上図では、【持っている力を活かせる→自分で立つ力を大切にできる→立つ能力を保っていける】といった良循環が生まれていきます。この中で、押さえるべき4つのポイントがあります。それは「OOTAて!」の法則です。【O:お尻の位置→前に/O:おじぎ→深めに/T:高さ→高めに(足裏が浮かない程度に)/A:足の位置→後ろへ(足裏が浮かない程度に)】
2.食事介助場面

上図では、上から介助していることで、【利用者が上を向く→スプーンを抜かれる時も上に引かれる→さらに顎が上がる→誤嚥(飲食物が誤って気管に入り込むこと)リスク増加】といった悪循環を生んで行きます。それだけではなく、そもそも上から目線・見下し介助なんて人としてありえませんからね!

上図では、同じ目線の高さで正面から介助しています。これにより、【まず「あ!食べ物だ!食べたい!」と認識と食べる意思を引き出せる→口を閉じながら頷いて食べ物を取り込みやすい→スプーンを抜く方向もまっすぐになる→誤嚥のリスク緩和→口から食べる力が保てる】のように良循環を生みます。


私たちが関わっている人は、たまたま今は介護を必要としているかもしれません。
しかし、介護を必要とする状態になってからの時間よりも圧倒的に今まで歩んできた人生の時間の方が長いです。つまり、私たち支援者は「要介護4で車椅子を使用している高齢の女性」と捉えることも若い頃は洋裁の仕事を長年しながら、妻として夫を支えながら母としても4人もの子どもを汗水流しながら育ててきた女性」のように捉えることもできるのです。おそらく、前者のような捉え方をすると「介護が必要なことは何か?」といったような「できないこと探し」の視点になり、支援内容も“できないことをお手伝いする”ことに陥りやすい です。一方、後者のような捉え方をすることで「できることがあるはず。もっと何か提供できることはないか?」といった、「できること探し」の視点となっていきます。そうすることで、“できないことをお手伝いする”だけの支援に留まらず、“そ の人が大切にして い ること”や“大切な力を大切にする”支援に繋がっていくのです。

リハビリテーション*介護Labo 代表 山崎 隆博
【Komachi介護ご用聞きネット 介護専門家ブログ】
http://www.kaigogoyoukiki.net/specialist/yamazaki/


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