介護施設で移乗用介護リフトが普及しないのはなぜか? - 介護専門家コラム

介護施設で移乗用介護リフトが普及しないのはなぜか? - 介護専門家コラム

介護専門家コラム

介護施設で移乗用介護リフトが普及しないのはなぜか?

特別養護老人ホーム ゆきわりの里 理学療法士  リハビリテーション*介護Labo 副代表 幸田 一紀

 

≪介護施設で移乗用介護リフトが普及していない理由≫

 

①リフトの使い方を指導できる職員がいない
購入した業者からの説明や講習会はあるかと思いますが、これだけでは継続して使用していくことが難しいです。リフトを使用するには、実技練習が不可欠ですので、職場内で最低一人はリフトの指導が出来る職員がいないと継続した研修や、現場での実践が出来ないため、せっかく導入しても倉庫行きになることが多々あります。

 

②道具(福祉用具)を使いたがらない・機械は特に苦手・・・
リフトに限らず、福祉用具全般使いたがらない人が少なからずいます。特に「スイッチ」や「ボタン」があるような機械は苦手!という『機械嫌い』の方、皆さんの周りにもいませんか?

 

③そもそも病院で普及していない
病院で、トランスファーボードを使用しての移乗はある程度普及していますが、リフトを積極的に活用している病院はあまり多くないと思います。この理由は、「マンパワーで解決できる」からです。病院は介護施設と比べ、介護・看護職員の人数が多いため、リフトを使わずに複数人の人力で移乗していることが多いと思います。
介護施設に入居される方の多くは、病院を経由しています。
病院に入院している時から、リフト移乗していれば利用者も慣れていますので、施設でのリフト導入もスムーズにいくかと思います。
前にいたところと同じやり方(介助)してくれー!と頼まれることけっこうありませんか?

 

④導入コストの問題
リフトは数十万円する高価な福祉用具です。経営的に買えない場合もあると思いますが、意外と多いのが「そんな高い機械、うちの職場では買ってもらえない」と介護現場が最初から諦めているパターンです。

 

≪移乗用介護リフトを導入するための準備≫

① 業者にデモと研修を依頼する
リフトは高価な機械ですので、業者は喜んで協力してくれます。デモと研修には必ず上司や施設長、経理責任者にも参加してもらいましょう。「お金を出す側」の人が直接見る機会があると、購入伺いを出した時に話が通りやすくなります。

 

② 移乗用介護リフトを使いこなせる人になる
リフト導入時、職場に使い方を指導出来る人がいることは非常に大事です。リフトを使いこなせる人がいなかったら、あなたが使いこなせるようになりましょう。購入のお願いをする時に、「私が責任を持って、研修をします。普及に向けて取り組みます。」と言えると良いですね。

 

③ 移乗用介護リフトのメリットとデメリットを説明出来るようになる
リフトのメリットとデメリットについては表を参照ください。ここで大切なのは、デメリットについてもしっかり説明することです。そして、デメリットに対しての解決策も説明出来ると説得力が一気に増します。

 

④ 事業予算に入れてもらう
いきなり数十万円する機械を買ってもらうことは難しいです。デモや研修を行い、交渉時に導入のメリットとデメリットを説明した上で、事業予算に入れてもらえるようにしましょう。高額ですから、事業予算に入れ込んでもらわないとまず買ってもらえません。

 

⑤ 助成金を活用する
人材確保等支援助成金を活用することで、購入時の負担を軽減することができます。助成金についても業者や行政にしっかり聞きましょう。

 

《移乗用介護リフトを導入する》

①アフターフォローに力を入れている業者を選ぶ
高額な機械ですので、相見積もりを取り、金額の安いところから購入するケースが多いかと思いますが、金額だけでなく研修を含めたアフターフォローが充実している業者を選ぶと良いです。リフト習得には実技練習が不可欠ですので、研修を快く引き受けてくれる業者を選びましょう。

 

②目的や環境に合った移乗用介護リフトを選ぶ
リフトは天井走行リフト・床走行リフト・据え置き型リフト・スタンディングリフトに大別されます。それぞれにメリットとデメリットがありますので、目的や施設の環境に合ったものを導入していく必要があります。

③意外と知らない盲点 ―スリングシート―
リフト選びと同じく重要なのがスリングシート選びです。脚分離型やシート型といった形状の違いで使い勝手や適応が異なりますので、施設の実情にあったものを選ぶ必要があります。サイズ選びも重要です。なんとなくMとLサイズを揃えておけばいいかな、と思ったら大間違い。スリングシートは海外製のものが多く、MやLでは大きすぎて使えないことがあります。いろんなサイズを試し、利用者の体型を考えた上で選定しましょう。

 

④継続して実技練習を行う
「機械(リフト)に対する苦手意識」を払拭するには、機械(リフト)に触れること、体験することが大切です。リフト操作のほとんどが、「上がる」、「下がる」程度の簡単なものです。反復練習していけば必ず苦手意識は払拭されます。そして、デメリットの一つである「時間がかかる」という点もかなり短縮されます。

移乗用介護リフトは安心安全な移乗・腰痛予防が可能な機器です。まずは、移乗要介護リフトに触れてみることから初めてみませんか?

 

【移乗用介護リフトのメリット・デメリット】

メリット
①安全に移乗出来る

②リフトの種類が多く、目的・環境に合わせて使用出来る

③介助者の腰痛を予防出来る

④一人介助で移乗出来る

デメリット

①導入コストがかかる

②時間がかかる?(慣れればほとんど変わらない)

③機械に対する苦手意識

 

幸田理学療法士と高橋介護福祉士の「自己成長を加速させる学び方」ブログ

http://www.kaigogoyoukiki.net/specialist/selfgrowth/

 

コラムの記事pdfダウンロードはこちら

2021_100.101p_幸田コラム_

 

 

介護業界歴10年以上のプロがあなたをサポート

無料転職サポートに申し込む

介護のお役立ちコンテンツ

「月刊新潟Komachi」の転職サービスだから地元新潟に強い!
介護の実務をよく知る「介護業界の専門家」があなたの転職を無料サポート。

  • 1

    希望の施設探します。非公開求人あり!

  • 2

    豊富な取材実績! 施設の内情も教えます

  • 3

    施設の見学、面接に同行。条件交渉

介護業界歴10年以上のプロがあなたをサポート

無料転職サポートに申し込む
無料転職サポート
に申し込む
0120-547-251
(平日9:30~18:00)
中途採用をご検討中の企業・ご担当者様へ
Loading...